試合前から錦織には異変が…全米オープン決勝完敗の“舞台裏”
全米オープンでアジア人初となる決勝に進出したものの、クロアチアのマリン・チリッチ(25)に敗れた錦織圭(24)。過去の対戦成績で5勝2敗とリードしている上、世界ランクも錦織(8位)が相手(12位)より上。多くのマスコミは「錦織有利」と予想していたが、まさかの完敗。
新聞・テレビは試合後、「サーブが予想以上に強烈だった」とチリッチの状態の良さを敗因に挙げていたが、現地で取材をしたテニスジャーナリストの塚越亘氏によれば、「試合直前の練習の様子から嫌な雰囲気はありました」とこう続ける。
「試合当日の直前練習は、まず午後3時30分ごろからチリッチが始めました。この時点で彼は、錦織との対戦で劣勢を意識していたのか、吹っ切れたように明るく、練習も軽めでした。約45分間ある練習時間も10分前には切り上げ、残り時間を使ってコートで家族と記念撮影していたほどです。一方、その10分後にチリッチに代わってコートに現れた錦織は終始表情が硬く緊張気味。勝てる可能性が高い相手との決勝を前に、これまでのように『当たって砕けろ』という気持ちではなく、『絶対に勝たないと』という重圧で、体がガチガチになっているように見えました。この差が本番のプレーに影響を及ぼしてしまったように思います」