住友電工陸上部監督就任の渡辺氏 “米国流”トレ決めた理由
現役時代の渡辺氏は慢性的なアキレス腱痛に苦しみ、引退を余儀なくされた。ある関係者は、「科学トレに対する思いが強いのは、選手に自分と同じ思いをさせたくないからです」と言ってこう続ける。
「地面の蹴りが強い選手はアキレス腱を痛めやすい。選手時代の渡辺がそう。ロードで長い距離を走らされてつぶされた。同じような蹴りの強い走りをする大迫には故障しないよう細心の注意を払い、ロードを走らせる練習はさせなかった。箱根駅伝で優勝した青学大がグラウンドの外周に土で盛ったクロスカントリーのコースを造ったのもケガを防ぐためです。でも、ベテラン指導者は、それで結果を残したこともあるからロードを走らせる。しかも勉強不足。高強度低回数の質の高い筋力トレや、柔軟性と体幹を鍛えることが故障を防ぎ、効率のいい走りにつながることも知らない。頭の固い指導者が日本のマラソンを後戻りさせてきたのです」
この日の会見では同社の松本正義社長(70)が、駅伝重視の陸上界を「ガラパゴス状態」とバッサリ。「日本の陸上は練習のやり方に問題がある。サイエンスを入れてやってほしい」と言った。そこまで言ったら結果を出すしかないが、陸連の宗猛マラソン部長はこの声をどう聞くか。