世界銀の卓球と明暗 “内弁慶”招いた男子マラソンの体たらく
旧ユーゴ・ナショナルスキーチームのコーチ経験がある平山昌弘氏が言う。
「私は英語と片言のドイツ語などで欧州選手とやりとりした。結果を残さなければクビですから必死です。そこでトップ選手たちは、筋力ではなく、骨盤や股関節をうまく使い、上半身と下半身のバランスを重視していることを改めて知ったのです」
さらに平山氏はこう続ける。
「高地育ちのアフリカ選手は心肺能力に優れているといわれているが、着地が日本人よりつま先側であったり、背中から脇腹の使い方もうまい。左脇をうまく使えば、右足はスムーズに出る。スピードに乗れるし疲労も少ない。今の日本選手は基礎体力も昔より落ちている。よりバランスのいいフォームが求められるのに、一つ一つの動きに連動性がない。頭の固い指導者たちはその辺りがわかっていない」
早大時代に駅伝3冠や11年ユニバーシアード(中国)1万メートル金メダルの大迫傑(24)は、20年東京五輪のマラソンで金メダルを取るため米国へ留学した。それをバックアップした当時の渡辺康幸早大駅伝監督(42・現住友電工監督)は、現地で、短い距離の練習や低酸素トレなどのソフト部門、細胞活動に必要なエネルギーをつくる「ミトコンドリア」を増やす研究などに驚愕。自戒を込めて、「日本長距離界が頭打ちになり、世界と勝負できないのは、指導者の勉強不足」と言った。