小久保監督複雑…侍J辞退の創価大・田中が実戦で152キロ投
「投げられるじゃん!」
思わずそう口走った関係者もいたはずだ。
創価大の田中正義(3年)といえば、MAX156キロで今秋ドラフトの目玉間違いなしの右腕。大学生として唯一、侍ジャパン入りを打診されながら、右肩疲労からの再調整を理由に辞退していた。その田中が、あろうことか侍ジャパンが台湾と強化試合を行った6日のオープン戦に先発したのだ。
拓大相手に3イニングを投げ、1安打2四球無失点。二回にはこの日最速となる152キロを計測。ネット裏のスカウト陣は「右肩に不安なし」と安堵のため息をついたが、複雑なのが小久保監督以下、侍ジャパンの首脳陣や関係者たちではないか。
田中は創価高時代に右肩痛で外野にコンバートされた経験がある。大学で投手に復帰したものの、そうした経緯があるだけに右肩の異常には人一倍慎重になってもおかしくない。しかも今回の代表戦は強化試合。日の丸のユニホームより、調整を優先させたのも無理はない。
それにしたって、その代表チームが試合を行っているさなかの実戦復帰だ。結果論とはいえ、投球内容に問題なしとくれば、小久保監督もやりきれない思いだろう。
とことん選手に嫌われっぱなしの侍ジャパン。サッカーのように「代表チームの常設化」が実現する日はくるのだろうか。