「長嶋さんもカリカリ」V9戦士黒江氏が巨人賭博問題に怒り
今の選手が野球賭博に手を出したり、金銭感覚がおかしくなってきたのは、きちんと話をしてくれる指導者がいないからですよ。私の頃は川上(哲治監督=故人)さんが、いろいろな話をしてくれた。川上さんは財界にも知人が多かった。例えばチーム状態が悪い時、富士銀行(現みずほ銀行)頭取の例を出してね。「あんなに偉い人でもこういう苦労しているんだぞ。試合に勝った、負けたぐらいは大したことではない」と言って選手にハッパをかけていた。「年上の人は人生経験が豊富だし、苦労もしている。年下より、知恵のある年上の人と付き合いなさい」ということも言ってましたよ。
黒い霧事件(1970年前後に社会を揺るがせたプロ野球の八百長事件)の時は、警視庁の人が球団に来てね。どうやって選手に近づいてくるかという具体的な話も聞いた。私も銀座のクラブで飲んでる時に、一般の人とは雰囲気が違うお客からビールをごちそうになった。断るわけにもいかないのでグイッとやって、「ごちそうさま」と言ってすぐに店を出た。その店には二度と行かなかった。巨人や中日、西武でコーチになったとき、そういう話を選手たちにしたものです。黒い霧事件を知っている選手なんて、もういないからね。