よぎるメークドラマ 今の巨人は再現不可能これだけの理由
■長嶋監督と由伸監督にも決定的違いが
なにより、肝心の巨人の状態が96年とは比較にならないほどヒドイ。巨人OBの評論家・高橋善正氏がこう言った。
「今年は菅野以外の先発投手の力不足が深刻。96年は16勝で最多勝を分け合った斎藤、ガルベスの2本柱に木田、槙原、宮本と駒は揃っていた。今年は投手陣自体が弱く、チーム力で劣る。打線は当時もチーム打率.253とリーグ5位に低迷したのは一緒だが、MVPを取った松井が4番で打率.314、38本塁打。落合、マックの中軸も20本塁打以上とクリーンアップは破壊力があった。今年とはまったく違う。今の巨人打線は昨年以上に工夫なく淡泊ですよ」
確かにそうだ。逆転勝ちはリーグで2番目に少ない10試合、逆転負けは同ワーストの18試合。三回終了時に負けている試合は6勝21敗の勝率.222で、これが六回になると3勝30敗の勝率.091という惨状だ。
「前日の散発3安打完封負けのようにナインの諦めも早い気がする。最後まで食らいつくという覇気を感じない。先発同様にリリーフ陣も不安だから逆転負けも多い。そこへもってきて、今年も故障者続出でしょう。昨年のV逸の要因だったとして球団が故障防止のプロジェクトを立ち上げたはずなのに、昨年以上に選手が次から次へと離脱している。最近も片岡が一軍に上がってきたと思ったら、たったの3試合で足を痛めて抹消された。これじゃ、広島追撃もあったもんじゃありませんよ」(前出の高橋氏)