綱取りへ焦り ガムシャラ稀勢の里に怪我で休場の危険性
今年こそ、この男がやってくれるかもしれない。いまだにそんな望みをファンに抱かせるのが、大関の稀勢の里(30)だ。
年末年始は無休でトレーニング。8日初日の1月場所に備え、稽古始めの2日から土俵に上がって汗を流している。
稀勢の里がやっきになるのも無理はない。昨年は琴奨菊、豪栄道がそれぞれ、自身初優勝。上位陣で賜杯を抱いていないのは、この日本人大関ただひとりとなってしまったのだ。これまで「最も横綱に近い日本人力士」といわれ続け、11年の八百長騒動時は「オレ、ガチンコっすから」と胸を張っていた。それがこの体たらく。表情にこそ出さないが、内心焦りも感じている。先を越された日本人大関2人について聞かれると、途端に口数が少なくなるのがその証拠だ。
■足の違和感でぶつかり稽古回避
しかし、いくら稽古をしても、考えながらやらなれけば意味はない。
「親方衆の間でも、『稀勢の里は何も考えずに漫然と稽古をしているだけ。あれではいくら汗を流しても実にならない』という認識ですよ。1月4日の連合稽古でも、肝心のぶつかり稽古を足の違和感で回避した。確かに年齢的にも30歳と下り坂を迎え、昨夏は右足首を負傷した。慎重になる気持ちはわかるが、ケガのひとつもない力士なんていない。これでは慎重を通り越して、臆病とも取られかねません。あまりケガに過敏になりすぎると、かばっているうちに別の箇所に負担がかかる。そうやって負傷を増やして引退した力士も過去に少なくない」(ある親方)
稽古後、多くの親方衆からため息をつかれた稀勢の里。これまで頑丈だったがゆえに、今後はケガに悩まなければいいのだが……。