千秋楽までもつの? ボロボロ稀勢の里は初日土でもう試練
「いつもは左のおっつけから差しにいくけど、今日はいきなり差しにいっていた。あれではよほどうまく踏み込まないと差せない。不安があるから、おっつけられないんだろう。(ケガした左上半身は)大丈夫なんだろうけど、不安を払拭するまで稽古ができなかったのかな。稽古場だと様子を見ながら力を出せるけど、本場所は違う」
相撲評論家の中澤潔氏もこう言う。
「攻めて負けたのならまだいいが、小柄な嘉風に手も足も出ないのでは……。全く相撲になっていないので、何が悪いかの理由も探しようがない。嘉風の右おっつけは決して厳しいものではなかったのですが、これでは『左腕はまったく使えません』と公にしたようなもの。左腕のサポーターを見る限り、不安はまだあるのでしょう」
稀勢の里は責任感の強い横綱だ。しかしこれでは、その「責任感」が仇になるかもしれない。左を使えない現状で千秋楽まで土俵に上がれば、患部の悪化やさらなるケガの恐れもある。19年ぶりに誕生した和製横綱が短命に終わろうものなら、せっかく盛り上がった大相撲人気も水の泡となりかねない。そうした懸念は相撲協会にもあったはずだ。それでも休場を促すことはできなかった。