若手躍進で11月場所は余裕なし 4横綱に迫る世代交代の波
土俵の将来を考えれば若手が結果を出して自信をつけるのは良いこととはいえ、上位陣はそんな悠長なことも言ってられない。世代交代ともなれば、力士寿命にも関わる一大事。波に乗る若手力士たちを11月場所で蹴散らすことが出来なければ、いよいよメシの食い上げともなりかねない。
ある親方は「過去の横綱たちはそうした若い芽を潰してきた」と、こう話す。
「俗に言う“かわいがり”ですよ。横綱は直近の場所で敗れたり、伸び盛りの若手が出てくると、出稽古や巡業でコテンパンに叩きのめしてきた。そうやって、『あの人にはかなわない』と恐怖心を植え付け、世代交代を抑えていた。朝青龍のように、稽古でケガをさせる横綱も珍しくはなかった。でも、例えば稀勢の里や鶴竜は『若手を潰してでも……』という性格ではない。さらに言えば、昔のような露骨なかわいがりをすれば、今はすぐに『やりすぎだ』と非難されてしまう」
そもそも、ケガ明けの稀勢の里は自分の調整だけで精いっぱい。満身創痍で孤軍奮闘した日馬富士は来場所の出場が不安視されている。若手を「かわいがり」でおののかせている白鵬も、左ヒザ痛で秋巡業への参加には慎重になっている。崖っぷちの鶴竜は当然として、他の3横綱も若手を気にしている余裕はない。
11月場所は新旧世代交代の序章となるか。