「男なら…」ヤクルト1位・村上宗隆を育てた父親の教育観
母の文代さん(46)は身長が170センチほどあり、高校時代はバレーボールのアタッカーだった。専業主婦として3兄弟の胃袋を支え、子どもたちの「なだめ役」でもあった。
そんな両親に育てられた村上は、幼稚園に入園した3歳のときにはもう家でプラスチックのバットを振って遊んでいた。村上は右利きだが、誰に教わるでもなく左で打った。公弥さんは「イチローや松井秀喜の映像を見て真似をしたのかもしれない」と言う。4歳で兄に連れられ、長嶺地域スポーツクラブに入団。当初は軟式球を使ったキャッチボールを捕り損ねて鼻血を出し、練習に行くのを嫌がっていたが、父は「男なら一度やると決めたことは最後までやり通せ」と言って背中を押した。小学4年で小学校の野球部に入部すると本格的に野球に没頭した。
公弥さんは自宅の庭で2メートルほどの物干し竿で素振りをやらせたことがある。高橋由伸(現巨人監督)が少年時代にやっていたと耳にしたからだ。
父にとって印象深いのは村上が自宅の庭で納得がいくまで素振りをする姿だ。ティー打撃ではなく素振りにこだわった。小学生時代のある日、村上は試合を終えて帰宅するや黙々とバットを振り始めた。それはいつしか日課となり、高校生になった今も続いている。長いときは1時間、スイングの音に耳を研ぎ澄ませながら一心不乱に振った。