日本フィギュアと何が違う ロシアとの厚すぎる6.98点の壁
「今回は完全にロシアの作戦勝ちだと思います。ザギトワ選手はすべてのジャンプを後半に跳ぶ構成で、正直そこまでやるかという印象でした。ルール上はOKですが、これまでは全体のバランスや基本の流れを重視してプログラムを組んできた。ロシアはそれを全部脱ぎ捨て、とにかく勝ちにこだわった。坂本選手も後半にジャンプを集めていましたが、ロシアは後半へのジャンプの集中が不自然にならないよう、構成や振り付けをうまく工夫していた。フィギュアは毎年7月にルール改正がある。今回のことがきっかけでルールが改定されるかもしれない。それほど極端な点数稼ぎのプログラム構成でした。宮原選手も回転不足を修正して素晴らしかったものの、フリースケーティング(FS)ではジャンプの数(加点要素)も増える。ロシアとの差はもっと広がるとみています」
ロシアは2014年のソチ五輪に照準を合わせて国家ぐるみでフィギュアを強化。国立の練習施設を建設し、トップクラスの指導者を集め、英才教育を受けさせた。こうなると、国内にスケート場が少ない日本との環境の差は大きくなる。
「ロシアは超一流と認められた選手には(遠征費や道具など)すべてが与えられ、お金もかかりません。(シングルの)選抜から落ちた選手もペアやアイスダンスに振り分けられるので、競技全体のレベルが高くなる。選手は引退後、指導者の道が約束されています。そういった施設や環境の整備、育成方法やセカンドキャリアにおいて、日本は後れを取っている。今後もロシアの天下は続くでしょう」(前出の梅田氏)