著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

ボストンマラソン優勝の川内優輝「プロ宣言」の衝撃と計算

公開日: 更新日:

 マラソンのカギは、仕掛けどころの見極めだ。瀬古利彦は競技場に入ってから観衆の前でそれを見せ、スピードに欠けた中山竹通は前半でいきなり突き放した。設楽悠太の日本記録にしろ、前半を抑える冷静な判断が後半勝負に生きたのだ。

 16日のボストンマラソンで1987年の瀬古以来の優勝を遂げた川内優輝も、仕掛けどころを心得た男だ。

 悪天候によるスローペースは前日から分かっていたこと。30キロ過ぎで、世界陸上の覇者ジョフリー・キルイに2分半も離されたが、相手のダメージを計算するようにセーブして40キロから追い、逆に2分25秒の差をつけて優勝した。

 ボストンマラソンは122回の伝統だけでなく、現在も東京やロンドンなどと世界6大マラソンを構成し、テニスのウィンブルドン的な存在。特に日本にとって、1951年の田中茂樹の優勝以来、世界への登竜門となった大会だけに、この優勝の衝撃は大きい。川内は昨年、2020年の東京オリンピックは狙わずに冬のレースに専念すると“代表引退”を宣言、自ら陸連の強化選手から外れた。ベストは2時間8分14秒で、31歳。陸連は気にしなかったが、ボストンの覇者となれば話は違う。去年の大迫傑の3位でさえ大騒ぎしたのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」