日大悪質タックルに見えた 大学スポーツ“勝利主義”の弊害
■日本版NCAAが勝利優先に拍車
大学スポーツの勝利最優先の現状に拍車がかかる要因は他にもある。
スポーツ庁が今年度中の創設を目指している「日本版NCAA」だ。
「日本版NCAA」とは、米国のNCAA(全米大学体育協会)をモデルにしたもの。
同協会は大学スポーツを管轄する団体で、加盟大学間の連携や運営支援などを行うほか、人気の高いアメフトやバスケットボールの広告費、入場料収入などで莫大な利益を得る事業団体でもある。
「日本版NCAA」も、スポーツ庁が中心となって「大学スポーツの発展、振興に向けた国内体制の構築」のために創設されるものだが、要するに金儲けのための業界団体である。
大学のスポーツには、箱根駅伝やラグビー、アメフト、六大学野球などの人気コンテンツがある。個別に行われている大会を総括する組織を立ち上げ、多大な収入を得ようというわけだ。
「この事業に関わっている連中は表向き『学生のため』とうたってはいるが、真の狙いは米国のような金儲けです。大学スポーツを商品化し、選手を儲けのコマにしようとしている。利益は分配金として得られるので、これまで以上にスポーツを強化する学校は増えるでしょう。指導者も選手も目先の勝利だけを追い求めれば、スポーツマンシップは二の次になります」(谷口氏)
スポーツ界では、陸上でもメジャーでも成績、ひいてはカネのためにクスリを使う連中が後を絶たない。これでは大学選手のドーピング発覚も時間の問題だろう。