<1>現場では「潰せ」「ぶっ倒せ」は日常的に飛び交う
高校時代から修羅場をくぐり抜けてきたからこそ、アメフトの怖さ、ケガの怖さが骨身に染みている。ギリギリのところで「寸止め」できる術をもつレベルだけに、なぜ、あそこまでという謎が残る。
「ケガをさせて秋の試合……」は論外、一線を越える命令を下した者がいたとすれば、永久追放である。
■「『潰せ』より激しい言葉で叱咤された」
では、「潰せ」はどうだろうか。
アメフトは、格闘技、やるかやられるかである。闘争心をかき立てなければ、フィールドには立てない。体と体をぶつけ合うコンタクトスポーツである以上、厳しい言葉に背中を押され、覚悟を決めてプレーしなければならない。ヘルメットをかぶり、防具を着けて臨むのだから。
「毎試合、怖かったです。対戦相手を打ちのめすという気迫がなければできません」
ある大学のコーチは自らの現役時代を思い出しながら続ける。
「ルールのあるケンカですから。『潰せ』より激しい言葉で叱咤されました。今の時代の学生だって同じです」