大騒動の審判の誤審問題で決して忘れてはならないこと
このところ、誤審問題が相次いでいる。中でも大きな注目を集めたのが、6月22日のオリックス対ソフトバンク戦だ。
延長十回表にソフトバンク・中村晃が放った右翼ポール際の打球について当初はファウルと判定されたものの、工藤公康監督が今季から導入されたリクエスト制度(VTR検証)を求めるとホームランに変更。ところが、その試合後にオリックス・福良淳一監督が抗議したところ、審判団が再検証を経て「やはりファウルだった」と誤審を認めたのだ。
そもそもリクエスト制度は誤審を正すために導入されたわけだが、それが新たな誤審問題を生むとは皮肉な話だ。いくらVTRで検証したところで、最終的に判定を下すのは人間なのだから、やはりヒューマンエラーは起こりうる。そう考えると「誤審の根絶」とは審判の大目標ではあるべきだが、それは選手にとっての「エラー根絶」みたいなもので、ひとつのスローガンにすぎない。
■毎度起こるバッシング
しかし、それでも世間は誤審を容赦してくれない。毎度のことながら、誤審問題が騒がれるとネット上では有象無象の激しい審判バッシングが巻き起こる。もちろんミスをしたら批判されるのは当然なのだが、だからといって審判の権威や技量を蔑むような口汚い言葉は見聞きに堪えないときがある。なぜなら、プロ野球の審判とは基本的におそるべき技量と精神力の持ち主だからだ。