はびこるアスリートの犯罪に拍車かける国と大メディアの罪
「前回の東京五輪(昭和39年)が行われた頃、10代で多額の収入を得ることができたのはプロ野球選手ぐらいでした。今は水泳、卓球、バドミントンなどのアマチュアスポーツでも国際大会ではけっこうな賞金が出る。リオ五輪のカヌー・スラローム(男子カナディアンシングル)で銅メダルをとった羽根田卓也選手のように、トップ選手になればスポンサーもつき、マスコミにも引っ張りダコです。全選手がそうだとは言わないが、若いうちから人気と多額の収入を得れば、『自分は特別な人間。自分だけは大目に見てもらえる』という意識を持ってもおかしくない。それが誤った行動につながるのです」
年齢にかかわらず、精神的に未熟な人間はどこの世界にもいるが、スポーツ選手の場合は、マスコミの「飯のタネ」にされて自分を見失う者が多い。
前出の工藤氏が言う。
「選手の実力を冷静に分析すればメダルの可能性はほとんどなくても、五輪の直前は、スポーツマスコミによって誰もかれもがメダル候補になる。東京五輪では、それがさらにひどくなるでしょう。実際にメダルを獲得すると、国の英雄になったように過度に持ち上げられる。苦しい練習に耐え、メダルを取るのは立派ですが、一方で、五輪前後の過熱報道により、勘違いする選手が続出することが懸念されます」