著者のコラム一覧
友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

ドミニカ共和国の大リーガー育成システムに漆黒の闇

公開日: 更新日:

 問題はメジャー球団と契約できるのが、学校をドロップアウトしてメジャーリーガーを目指す野球少年の2~3%にすぎないということだ。97~98%は夢をかなえられず、17歳か18歳でブスコンの施設から追い出され、義務教育未修了のまま社会の荒波に放り出されることになる。

 ドミニカ共和国は商工業が未発達な農業国で失業率は13.3%と高い。彼らがありつける仕事は底辺の肉体労働しかない。そうした者たちの中には極貧の暮らしを嫌って犯罪組織に流れる者も少なくない。

 同国では、学校をドロップアウトしてメジャーリーガーを目指す野球少年が毎年1万人以上生まれているが、その大半は夢破れ、6、7年後には社会の最底辺に組み込まれることになるのだ。こうした悲惨な現実は、国連の定める「児童労働」に抵触すると指摘する研究者もいる。

 その代表格であるフロリダ国際大のアダム・ワッシュは、これを抜本的に改善する方法は、中学校をちゃんと卒業した者しかメジャーリーグ球団と契約できない、というルールを設けるか、ドミニカ共和国も含むインターナショナルドラフト制度を創設するしかない、と主張している。

 正論だが、メジャー球団の多くはドミニカ人有望株を16歳で入団させ、20歳でメジャーデビューさせて効率よく主力選手に成長させることに注力している。それを考えれば、しばらくは、何も改善されない可能性が高い。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主