エンゼルス大谷翔平に「新人王」をもたらした“米国人気質”
エンゼルスの大谷翔平がアメリカン・リーグの新人王となった。
成績だけを眺めるなら、新人王の有力な候補であったアンドゥハーとトーレスの「ヤンキース・デュオ」の方が、出場試合数、安打数、本塁打数、打点数のいずれでも大谷を上回っている。
それでは、なぜ大谷は2018年のアメリカン・リーグの新人王となれたのだろうか。
ここで見逃せないのが、アメリカ合衆国という国が持つ気風、気質だ。
米国は2026年に建国から250周年を迎える。だが、今も米国民の多くは自らの国を「若い国」と考えている。さらに、国土から物理的な開拓地が消滅した現在でも、創造的な事柄に取り組むことを肯定し、たとえ挑戦が失敗しても挑戦そのものの意義を高く評価する開拓者精神は残っている。
これまでマディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)のように打撃が得意な投手や、点差が開いた試合で投手を休養させるために登板する打者はいたが、投打の両方で平均以上の成績を挙げた選手はしばらくの間、いなかった。そのため大谷が、現在の大リーグでは不可能と思われていた「二刀流を実現した開拓者」という印象を与えることになったのだ。