GM市場に異状アリ 宿敵からの横滑りや代理人からの転身も
メッツが新GMに選んだのは、エージェント業界の大物ブロディー・バンワゲネンだった。CAA社野球部門共同責任者の肩書を持ち、デグロム、シンダーガード、セスペデスの代理人を務めている人物だ。過去にはロビンソン・カノーがマリナーズと交わした10年2億4000万ドル(約272億円)の契約を手掛けた実績もある。
ただ、いくら大物代理人でも、代理人業を継続しながらGMになることは、本来あり得ないことだ。代理人は年俸を吊り上げるのが仕事、一方、GMは年俸を値切るのが仕事なので、代理人をGMにするとチェック機能が働かなくなる。
代理人をGMにすれば、自分のクライアントをえこひいきする問題も出てくる。これは現実に起きている。バンワゲネンがGMになって最初に敢行した大型トレードは「ジェイ・ブルース+アンソニー・スウォーザク+マイナーの有望株3人」をマリナーズに放出してカノーとクローザーのエドウィン・ディアスを受け取るトレードだった。カノーはバンワゲネンの一番の顧客だが、シアトルは居心地がよくないようでニューヨークに帰りたがっていた。その気持ちを酌んでバンワゲネンがメッツに引き取ったのだろう。
バンワゲネンはカノーの総額272億円の契約をまとめているので彼の手数料は約13億円。こんないい客を大事にしないはずがない。