妻子残し単身渡仏した息子へ…昌子源の父親が送るエール
体格差があり、守備の文化も思想も異なる異国で、日本人DFが戦い抜くのは容易なことではない。それは、指導者を長年務め、外国人指導者とも交流のある力さんには十分に理解できる点だ。
「『3歩前進して2歩後退する。しかし、1歩は進んでいる』とポジティブに捉えて継続していくしかない」としみじみと語る。そんな父が息子に伝えられるアドバイスがひとつ、あるという。
「フランスに行ってからの源を見ていると、ぬかるんだピッチに足を取られる場面がよく見受けられます。日本では足の裏全体で、しかもスパイクの性能で地面をとらえていればいいけど、向こうでは指先で地面をグイッととらえる強さが必要なんだろうと感じます。土を噛む……といった感じで。私が指導している大学生にもグラウンドが変わると転んでしまう子がいます。体全体をうまくコーディネートしながら、効率よくエネルギーを使えるような動きや体の能力が不足しているということ。源も、走り方を含めて足の指先まで使う感覚やコミュニケーションのための“五感”を見直すことが大事になるでしょうね」
実際にアドバイスをもらった昌子自身も「やはり欧州独特のピッチの難しさはあります」と神妙な面持ちで語り、父の意見を参考にしながら、取り組む気持ちを伝えてくれた。身内にサッカーエキスパートがいることは彼にとっての大きな利点である。父の知恵を借りながら、苦境打開策を見いだしていくつもりだ。