4横綱も認めた朝乃山の素質と伸び代 そして来場所への課題
「土俵入りとか土俵に上がったとき、声援がすごかった。でも、一番悔しいのは、“トランプ杯”をもらう立場なのに、目の前で勝てなかった」
朝乃山(25=前頭8枚目)がそう嘆いた通り、竜頭蛇尾の結末だったことは否めない。
千秋楽の26日は御嶽海に負けたものの、5月場所で初優勝。賜杯にその名を刻んだ。それと同時に、今場所創設された「アメリカ合衆国大統領杯」、通称トランプ杯を初めて手にした力士ともなった。
14日目の25日、大関豪栄道を破り12勝目を挙げると、自身を1差で追っていた鶴竜が大関復帰を目指す栃ノ心に黒星。この時点で、千秋楽を待たずして優勝が決まった。
高砂部屋関係者は「常に淡々とした性格です」とこう話す。
「勝っても負けても、あまり表情が変わらない。新弟子の頃から、そんな感じですね。本場所でもそうですが、稽古場でも気迫を出すタイプじゃない。相撲だけではなく、日常生活でも掴みどころがない性格です」
近大出身の大卒力士。大学相撲はトーナメントなので、変化や引き技といった目先の勝利優先の相撲を取る力士が少なくない。そんな中、朝乃山は正統派の右四つ。これは高校時代の恩師である富山商相撲部の故・浦山英樹監督の指導が大きいという。朝乃山の下の名前が本名の「広暉」ではなく「英樹」なのは、幕下優勝翌日に急逝した恩師にあやかってのものだ。