一山本は十両昇進で月収110万円に “脱サラ力士”が与える夢
後進に新たな「夢」を見せることができるか。
29日の番付編成会議で、二所ノ関部屋の一山本(25)が初の十両昇進を果たした。
経歴は異色も異色。中大卒業後は地元の北海道に戻り、福島町の町役場に就職した。しかし、大学まで取り組んでいた相撲への意欲が捨てきれず、退職してプロの世界に飛び込んだ。
役場を辞めた2016年の時点で、一山本は23歳。新弟子検査は23歳未満の年齢制限があったものの、ちょうどこの年、相撲や格闘技、スポーツの実績がある者に限り、「25歳未満でも可」と規則が変更されていたことが追い風となった。
ある親方が言う。
「大相撲の力士数は場所ごとに変わるとはいえ、平均して650人前後。その大半が、給料の出ない幕下以下です。他競技と比べて考えると、本当のプロと呼べるのは給料が出る十両以上と言っても過言じゃない。そのプロになる夢を一山本はかなえた。幕内の定員は42人、十両は28人なので、1割強の70人は給料がもらえるプロ。他競技に比べたら、必ずしも狭き門ではない。一山本の出世を見て、『オレもプロで一旗……』というスポーツ経験者が入ってくればいいんですが」
ちなみに、十両の月収は110万円。夢を追う価値はありそうだ。