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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

まずはメンタル克服を 大坂なおみを襲うランク降下の恐怖

公開日: 更新日:

 心配は大坂なおみだ。

 全仏で優勝したアシュリー・バーティが、芝の前哨戦バーミンガムでも勝ち、大坂に代わって新女王に就いた。ランキングはさておき、バーティは怖い。15歳でウィンブルドンジュニアに優勝するなど、もともと芝巧者だ。全仏にオーストラリアのメディアが皆無だったのも、よもやクレーで優勝するとは思わなかったから。今度こそ大本命である。

■プロにとってランキングの降下は「恐怖」

 大坂の全米―全豪連覇はいずれもハードコートだった。土から芝に変わる全仏―ウィンブルドンの連覇は難しいとされ、女子では1996年のグラフが最後。これを達成すれば注目は一気にバーティへと移る。大坂のプレッシャーが減るなどというのは素人考えで、プロにとってランキングの降下は恐怖以外の何物でもない。錦織と同様、米国のハードコートで盛り返すために、ここも2週目まで残りたい。

 大坂が抱えるメンタルの問題は、自分で克服するしか道はない。ツアーの戦いは生き馬の目を抜く過酷さで、目標を先に見据えつつ今を戦わなければ、奈落の底まで落ちていく。女子には過去にいくらでもそんな例があるのだ。

 日本テニス協会はこの2人をオリンピック強化選手に指定した。来年は“東京”で振り回されることが分かっている。今季後半戦の2人には、そんなことを考えている余裕などないのだ。

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