――34歳でも、衰えは見えませんか?
「かつてのような一気の出足で前に出て、寄り切る相撲は激減しています。それでも、うまさや反応のよさでカバーしている。近年は押し込まれてから逆転という相撲が増えましたが、あれは紙一重でも何でもない。むしろ、白鵬の中では余裕でしょう。以前、白鵬から『(相手に背中を向けた状況から)自分は普通に振り返ったつもりなのに、相手はまだ見たままで攻めてこない』といった話を聞いたことがあります。今年3月場所の栃煌山戦、玉鷲戦などは、まさにそうだった。白鵬的には普通に反応しただけで、おそらく白鵬とそれ以外の力士では、流れている時間の感覚が違うのではないか。そんな気すらします」