巨人坂本、大城が陽性 “隠れコロナ”感染懸念も開幕強行へ
巨人は3日、坂本勇人(31)、大城卓三(27)に新型コロナウイルスの陽性反応が出たことを発表した。検査の結果を受け、この日に予定されていた西武との練習試合は急遽中止に。2人は前日2日におよそ2カ月ぶりの対外試合となる西武戦に臨み、共にスタメン出場していた。
NPBの関係者によると、開幕日が6月19日に決定するにあたり、巨人と阪神が主導的な役割を担った。それだけに、球団を挙げて感染防止対策を徹底する姿勢をみせていたのは事実だ。
当初の開幕が延期となった4月に入ると、早々に選手、職員に「不要不急の外出禁止」を通達。報道機関へはジャイアンツ球場の取材自粛を要請した。個人調整期間を延長しながら、練習場所は同球場に限定。球場施設の利用時間を午前、午後に分け、一、二、三軍の選手のみならず、視察するコーチ陣もローテーションを組んだ。「密」を避けるため、職員にはテレワークを推奨。5月29日から3日間、選手、関係者ら希望者218人に抗体検査も行った。
そうやって感染防止に努める一方、開幕に向けた準備も着々と進めた。5月11日からは東京ドームで一軍練習を再開。球団は「あくまで個人調整で時間も短い。体を動かす程度の練習」と否定するが、さる球界関係者は「他球団と比べ、広島、中日、巨人の調整は進んでいた。楽天は3月30日から活動休止し、球団施設も閉鎖。5月8日になって40日ぶりに球団施設を使用しての自主練習を再開したのと比べると、感染予防に対する考えに違いがあったのは事実。セ球団は総じて開幕に前のめりだった」と見る。
■抗体検査で発覚、PCRでも陽性
坂本と大城は、球団が募った抗体検査で陽性が判明。2日の西武との練習試合後にPCR検査を受け、陽性判定が出た。球団によれば、2人に症状はなく、正常値ぎりぎりの「微陽性」との判定で、回復を示す抗体も確認されている。入院した2人がPCR検査で陰性が確認でき次第、チーム合流を目指すという。
東京医科歯科大の名誉教授で感染免疫学が専門の藤田紘一郎氏が言う。
「微陽性ということは、回復を示すIgG抗体がある状態で、感染力のピークは過ぎていると考えていい。つまり、人にうつる力は弱くなっている状態です。チーム内、あるいは相手チームの人間にこの2人から感染する可能性は、ゼロではありませんが、かなり低いでしょう。ただし、抗体検査で陽性反応が出た選手が試合に出場していたのは危険。PCR検査で陰性が確認できてからでないとリスクは大きい」
巨人によると、検査前から2週間さかのぼって2人の行動を確認したところ、坂本も大城も知人やチームメートとそれぞれ1度だけ食事をした以外、外食も夜の外出もなかったという。それでも罹患するのが、このウイルスの怖いところだ。