巨人戸郷は桑田以来の開幕ローテ 師匠から盗んだ2つの武器
戸郷翔征(巨人・投手2年目・20歳)
巨人では1987年の桑田真澄以来、33年ぶりとなる高卒2年目での開幕ローテーション入りを決めた。
身長186センチ。バレーボール選手だった母譲りの長い腕から繰り出すクセ球を武器にする。宮崎・聖心ウルスラ学園高では2年夏の甲子園に出場。3年夏には宮崎県選抜の一員として、高校日本代表と対戦。甲子園で春夏連覇を果たし、ジャパンの中心選手だった根尾(大阪桐蔭=現中日)から2つの空振り三振を奪い、一躍ドラフト候補の仲間入りを果たした。
ドラフト6位で入団。ルーキーだった昨年9月、リーグVを決めたDeNA戦でプロ初登板初先発。阪神とのCSファイナルステージでは高卒新人史上3人目となる先発を託され、日本シリーズのマウンドにも上がった。すると、ルーキーは大胆不敵な行動に出た。オフに15勝4敗の山口俊(ブルージェイズ)への弟子入りを直訴。今年1月に沖縄で合同自主トレを行ったのだ。さるチーム関係者がこう言う。
「長身から腕を下げて投げるところや、投球スタイルが似ているからだそうです。昨年の奪三振王でもある山口俊から『フォークボールを教わりたい』と言っていました。マッチ棒のように体の線が細いことが悩みだったので、父が元力士で大食漢の山口俊と寝食を共にすることで、食事面を改善したかったのもあるでしょう。山口俊は野球選手の中でもかなり食べる方。昼にステーキ500グラムなどノルマを課され、吐きそうになりながらも必死に食らいついていました。目的意識が明確で『とりあえず菅野さんについていこう』みたいな流されるところがないんです」
狙い通り、オフ期間に体重は4キロ増で75キロになった。山口俊直伝のフォークで三振も奪えるようになってきた。「僕が俊さんの穴を埋めたい」と言い切る20歳。資格のある新人王候補でもある。