巨人は現場とフロント真っ二つ プロ各球団のドラフト戦略

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明石商・中森は早大、慶大への進学も視野に

 8日、8月10日に開幕する「2020年甲子園高校野球交流試合」の組み合わせが決まった。

 出場32校の中でプロ球団が最も注目するのは、昨年春、夏の甲子園で連続4強に入った明石商(兵庫)である。

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 約2カ月ぶりに全体練習が再開となった6月15日、巨人は榑松スカウト部次長、大森編成本部統括スカウト、岸スカウトの3人が視察に訪れた。お目当ては、最速151キロの中森俊介投手、高校通算32本塁打の来田涼斗外野手の2人である。中森は今秋のドラフト上位候補で、スポーツ報知には「巨人は本気みたい」という狭間監督のコメントが掲載されている。

 ただ、151キロ右腕は進路を決めかねているという。先月27日には「今は(プロと大学の)半々くらい」と明かしている。

 ある球団の関西地区担当スカウトがこう言う。

「実は中森は学校の成績も優秀なんです。昨年の春夏甲子園ベスト4の実績があるので、受験資格がある早大のスポーツ推薦や慶大のAO入試受験も視野に入れているようです。『プロと進学半々』と言ったのは本音だと思います」

 明石商が今月4日に行った智弁和歌山との練習試合には、巨人を含む9球団のスカウトが集結。中森は5回を投げて1安打11奪三振1失点だった。視察した前出のスカウトが続ける。

「中森はまだ完調ではないものの、試合ごとに本来の投球が戻ってきている感じはします。8月の甲子園交流戦までにはもっと上げてくるでしょう。来田もまだプロ入りを表明していませんが、見に行くとチラチラと視線が合うので、我々を意識しているのが分かる。高校生ならこれが普通で『アピールしなきゃ』と力むものですが、中森はスカウトの視線を気にするどころか、スカウトの存在すら目に入らないのではないか。それくらい集中しているのも高評価です」 

■現場には開幕ローテ入り即戦力投手という要望

 巨人の補強ポイントは投手である。さらに、ここ3年間ドラフト会議では、甲子園のスター選手を1巡目で指名している。

 2017年は清宮(早実→現日本ハム)、18年は根尾(大阪桐蔭→現中日)、昨年は奥川(星稜→現ヤクルト)を真っ先に指名。いずれも抽選で逃したものの、昨年から聖地を沸かせている中森が、巨人の欲する「甲子園のスター」であるのは間違いない。

 ただ、現場には違った声もある。コロナ禍で今季のベンチ入りは昨季の25人から26人に、出場選手登録数も29人から31人に増えた。今年の新人では、ドラフト1位の広島・森下、西武・宮川、楽天・小深田ら18人が開幕一軍メンバーに名を連ねた。最多は西武の3人だ。12球団全体では19年が10人、18年が13人、17年が15人だから、今年は新人が豊作ということになる。にもかかわらず、12球団で巨人だけが、ひとりも新人が開幕一軍入りを果たせなかった。さる球団関係者がこう言った。

「2位の社会人・太田(JR東日本)以外、支配下で指名した6人中5人は高校生なので仕方ないとはいえ、全体的に新人が活躍していて豊作といわれるから、原監督は不満みたい。確かに中森は完成度の高い投手だが、高卒1年目から開幕ローテーションでフル回転というわけにはいかない。実は現場には、今年は高校生より大学生、社会人の即戦力を多めに指名して欲しいという声がある。特に開幕ローテに入れるような即戦力投手が欲しいという強い要望があるだけに、1位指名の人選は紛糾しそうです」

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