選手に不満を抱かせないバレンタイン監督の「選手操縦術」
もちろん、それだけではありません。そこにボビーの選手操縦術のうまさがあったように思います。
主に守備固めや代打の起用法がそうです。普段から控えの選手であればともかく、レギュラークラスの選手が大差のついた終盤に出番を与えられても緊張感は保てません。
その点、ボビーはレギュラークラスの選手を必ずと言っていいほど「ここぞ」という場面で使っていました。例えば、負けている試合でスコアリングポジションに走者が出た場合の代打。あるいは僅差で勝っている試合での守備固めです。
前者はどうしても点が欲しいチャンスでの起用。後者だと1点もやれないシーンです。
これなら前日3安打しながらスタメンを外れた選手のプライドはある程度保てるし、自然と背筋も伸びる。
スタメン落ちした選手にも、それなりの役割を与えることで、ナインのモチベーションを保っていました。
とはいえ、ボビーのやり方すべてがナインに受け入れられていたわけではありません。
僕も覚えている限り2つほど、ボビーの提案を拒否しました。
それは「ブルペン投球」と「チェンジアップ習得指令」です。 (つづく)