「ふざけんなよ」と思いながら渋々従ったボビー監督の指令
監督室は日本のプロ野球選手にとって馴染みの薄い場所です。特にマリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)のそれは、選手ロッカー室から通路を挟んで向かいの奥まったところにありました。
ボビー・バレンタイン監督(70)は「いつでもウエルカム。常に扉は開けておくから、来たいときに来てくれ」と選手に言っていましたが、そうそう訪ねていく用事もない。しかも監督室の手前にはコーチ室がある。選手が何か言うなら、まずはコーチ。コーチ陣のいる部屋を素通りして監督室に……とはならないものです。
僕が監督室に入ったのは1回だけ。2007年のシーズン終盤、パフォーマンスが落ちてきたあるとき、ボビーに呼ばれたのです。
室内にはボビーが家族と写っている写真、05年にリーグ優勝や日本一を達成した記念のフラッグ、当時の集合写真などが飾ってありました。そこでボビーから「一回、ファームでリフレッシュしてきてくれ。マサは4年間ストッパーをやって、一度も登録抹消がない。疲れもたまってるだろうし、プレーオフもあるから」と言われたのです。