「ふざけんなよ」と思いながら渋々従ったボビー監督の指令
僕はこの年がプロ9年目ながら、ファームの登板経験はゼロ。1年目に登録を抹消されたことはありましたが、当時は一軍に帯同していました。そんな事情もあって、突然のファーム行き指令にカチンときたのは事実です。
「でも、僕はずっと一軍でしか投げてないので、二軍だとシチュエーションも緊張感も違う。リフレッシュになるかわかりませんよ」
こう言って反論しましたが、ボビーは「10日間だけでいいから」と、引き下がらない。僕は渋々、承知しましたけど、内心は「ふざけんなよ」と思っていました。
■若手が一挙手一投足を…
それが初めてファームの練習、試合に参加すると何もかもが新鮮。ルーキーだった大嶺祐太らの若手が、僕の一挙手一投足をじっと見つめてくるのです。ロッテは一軍が幕張、二軍が浦和なので、彼らにすれば一軍選手と接する機会がほとんどない。それだけに「どんな練習をするんだろう?準備の仕方はどうなんだろう?」と興味津々なのです。
このとき、初めて「ベテランが若手に与える影響」に気付きました。自分だけのことを考えれば、そりゃ、一軍にいる方がいい。でも、チームの今後を考えたら、実績のある選手がファームに行くことも決して悪いことではないと思ったのです。