ドラフト“何位縛り” 裏で糸を引く社会人チームの手練手管
彼らは明らかな1位候補やドラフトの目玉になりそうな選手にはまず目を付けない。素材はバツグンなのに力を発揮できない、ここを直せば大化けするかもしれないといった選手に早い段階で声を掛ける。そういった手法をとるのは社会人の中でも大企業に多い。
大学の監督にしてみれば、社会人チームとのコネクションは何より大切だし、教え子が大企業に“就職”できるのは大歓迎。指名の保証がないプロを待つ以前に、有名企業の社会人を受け皿にしてしまうのだ。
しかし、春先にいまひとつで社会人を受け皿にしていた選手が、夏から秋にかけて急激に伸びてくればプロも放っておかない。大学の監督にしてみれば、選手の受け皿になってもらっている社会人チームに義理立てする意味でも、評価が低ければ社会人入りというスタンスをとることになる。
「ただし、選手自身はプロに行きたいケースが圧倒的に多い。社会人チームや大学の監督の都合はともかく、本人は自分の力をプロの世界で試してみたいと思っているはずだ。突破口があるとすれば本人だからな!」
部長は電話口の向こうでこう言った。
せっかくゴルフの腕を上げるチャンスと思っていたら、とんだ難題を抱えることになった。
(プロ野球覆面スカウト)