巨人がDeNA梶谷と井納を獲得 消え失せた強者の憎たらしさ
しかし、今年の梶谷&井納の獲得についてはそういうおなじみの批判すらも少しむなしく思えてしまう。現在の巨人はリーグ2連覇中で、原辰徳監督に至っては在任14年間で9度のリーグ優勝と3度の日本一という圧倒的な実績を誇っているのだが、その一方で今年の日本シリーズでは2年連続でソフトバンクに4連敗を喫し、巨人というチームが言わば下部リーグのお山の大将に過ぎないことがあきらかになってしまった。つまり、これまでのような「巨人=強者」というイメージがまったくない中で先述した露骨な戦力補強をやっても、巨人特有の憎たらしさみたいなものがあまり感じられないのだ。
だから、今年の巨人の補強から伝わってくるのは勝利至上主義の見苦しさではなく、弱者の深刻な悲壮感だ。パ・リーグ王者にてんで歯が立たなかった弱小リーグのお山の大将が、あわてて補強に動いた結果、同リーグの下位チームから主力選手を強奪。しかも、梶谷と井納は超大物選手というわけでもないため、なんとなくツギハギ補強のような脆弱さも漂わせている。とてもじゃないけど、ソフトバンクという巨大戦艦に向けた対策にはならないだろう。