エース内海哲也は「深呼吸2回の長持ち牽制」を武器にした
「とりあえずやってみよう」
原辰徳監督は私の意見を尊重してくれた。しかし、違うコーチもいた。
「おまえ、細か過ぎるからケンカになるんだよ」
ヤクルト出身の私は外様コーチ。入団した2012年ごろは他のコーチによく冷やかされた。
「いや、ケンカじゃなくて、僕たちは意見を交換し合ってるだけですよ」
野球は「大同小異」である。日本シリーズで力の差を見せつけられたソフトバンクとも、多くのことは同じでも、例えば捕手の配球だったり、小さな部分が異なっていた。これが積み重なって大きな差になるというのが私の持論だ。
ピッチドアウト、バントシフト、一、三塁時の重盗阻止、そして牽制……。みんな同じようでコーチによってやり方が違ったりする。
私はこう言い返した。
「細かくやって削る分にはいいじゃないですか。その方がスキルアップするし、牽制なんか、やろうと思えばいくつもあるんですよ」