落合監督のドライな思考 私の後任はとっくに決まっていた
落合監督は「契約ありき」とよく口にする。2009年のWBCの際に、原辰徳監督率いる侍ジャパンに中日の選手を1人も出さなかった。この時も「契約して選手に年俸を払っているのは中日。だから選手は球団のために仕事をするのが当たり前」と堂々と言った。はっきり言って、「球界のため」というような発想はあまりないだろう。プロは契約が全てという、どこかドライなメジャーリーグに近い考え方だったように思う。
私と同じように「3年契約の満了で更新はしない」と言われた長嶋清幸作戦・外野守備走塁コーチは怒りの記者会見を開いた。私も悔しかった。名古屋市内の行きつけの中華料理店に顔を出すと、店長から「来年も頑張ってくださいね」と激励され、「いや、実はクビになったんです」と返すのがつらかった。ギョーザをつついていると、涙があふれてきた。
総額で8000万円から1億円とされた米国ラスベガスへの優勝旅行には行かなかった。球団には「今年のご褒美なんだし、来てもいいんだぞ」と言われたが、辞めることが決まったコーチが行っても、周囲に気を使わせるだけである。
V旅行はヤクルトの選手の時、巨人のコーチの時に何度か経験がある。ヤクルト時代に行ったオーストラリアで、野村克也監督の夫人・サッチーこと沙知代さんとのカジノでの出来事を思い出す。