国内3大マラソンの2つが消滅…元陸連幹部の「嘆きと提言」
この決定に苦渋の表情を見せるのが、第2回大会の高校生の部に出場(3位)した元陸連副会長の帖佐寛章氏だ。帖佐氏はかつて、同大会のコースディレクターを務めていた。
■新聞社の弱体
「新聞社は戦後、国内マラソンの発展に多大な貢献をしてくれた。とても感謝している。しかし、毎日新聞がメイン主催のびわ湖毎日マラソンも今年(第76回)を最後に滋賀での開催を終了し、来年から大阪マラソンと統合される。国内3大マラソンの2つが消えることになった。時代が令和に変わり、新聞社がエリートランナーだけの大会をバックアップする時代ではなくなったということだ」
市民参加の東京マラソンの主催は東京マラソン財団。メディアのフジテレビ、産経新聞社、読売新聞社、日本テレビ、東京新聞は共催。中日新聞社が主催の名古屋ウィメンズはエリートランナーも走るが、2万人以上の女性が参加する大規模な市民マラソンである。
前出の帖佐氏が言う。
「私は1991年から2010年まで、約460の世界的な長距離レースで構成される会員制組織のAIMS(国際マラソン・ディスタンスレース協会)会長でもあった。AIMS加盟のレースで消滅したのは日本の大会(横浜国際女子、さいたま国際、びわ湖毎日、福岡国際)だけ。いずれも主催は体力が衰えてきた新聞社。そこが資金難に陥ると、国際大会の代表選考会である主要大会でも消えてしまう。マラソン大国としては恥ずかしいこと。陸連はこの機会に、エリートと市民参加の併合、コース選定、開催時期、資金集め、賞金の公表など大会のあり方について考えるべきだ」
マラソン大会もカネ次第ということか。