五輪貴族とスポンサー“悪目立ち”隠し 開会式観客2万人の裏
やはり「上限1万人」では済まなかった。あと32日後に迫った東京五輪の開会式に限り、大会組織委員会などが観客上限「2万人」への引き上げを検討中だ。一気に上限倍増の横紙破りが許されれば「安心安全」もクソもありゃしない。
菅政権や組織委がとことん「有観客」にこだわるのは「客がいないとコロナに負けた気がする」(首相側近)との子供じみた理由だけではない。IOCのバッハ会長ら五輪貴族やスポンサー対策というオトナの事情もありそうだ。
20日の日本テレビの報道によると、開会式の観客数は従来▼一般チケット販売分9300人▼スポンサーなど大会関係者への販売分1万500人▼IOCや国会議員など貴賓客7300人――計2万7100人と計画。スポンサー枠がやたらと多い。
感染対策のため、一般販売以外を縮小しても2万4000人に抑えるのが、やっと。最終的にはスポンサー枠のうちパッケージツアーの客など5000人を「一般に近い関係者」とみなし、一般販売分と合わせて再抽選。合計で1万人以内に減らし、総数で2万人以内に絞り込むという。
一般客は貴族とスポンサーの隠れみの
一般客をふるい落とすぐらいなら「無観客」の方がよっぽど公平性を保てるが、菅政権も組織委もIOCとスポンサー「様様」。機嫌を損ねるわけにはいかないのだ。
「会場となるメインスタジアムの国立競技場のVIPルームは約1400席。VIPよりも格上で国賓らを招く『VVIPルーム』は約270席と、合わせても1700席足らず。当然、招待客の多くがあふれ、メインスタンドの特等席に陣取ることになりますが、一般客を入れない『無観客』だと彼らが悪目立ちしてしまう。ゆったり優雅に開会式を眺める姿が批判の的となれば、IOCもスポンサーもおかんむりです」(組織委関係者)
つまり有観客開催は「木を隠すなら森の中」で、一般客は貴族とスポンサーの隠れみの。ちなみに、豪勢なVVIPルームはあくまで「仮設施設」で大会終了後は解体する予定だ。つくづく国民感情逆なでのムダな“おもてなし”五輪である。