山本敦久氏「五輪の弊害、IOCの醜態が露呈した今こそがターニングポイント」
そんな福島から今年3月、聖火リレーが始まった。少しコースを外れると放射性物質が詰め込まれた袋が山積みにされている。しかし、テレビの画面にはそれらがまったく映らなかった。このまま東京五輪が行われたら、現地の惨状や被災した方の気持ちがすべて無視されたまま、復興が終わったことと、片付けられてしまう。
東京五輪は利権や政府の思惑などさまざまな問題を抱えています。しかし、五輪を過剰に神聖視する日本人のこと。東京五輪だけが酷いありさまに感じるかもしれませんが、それは今大会に限ったことじゃない。各都市で生じた五輪による弊害は枚挙にいとまがありません。
中でも最悪と言えるのは1968年メキシコ五輪です。開催直前、政府が五輪反対デモを起こした学生らを大量虐殺する大事件が起きました。しかし、“平和の祭典”を滞りなく実施するために、これらはひた隠しにされていたのです。
■4年に1度というオリンピックの時計を止める時
五輪が開催地に社会的災害を招いてきたことは前述の通りですが、そもそもIOCの体質だって問題だらけ。東京大会では「コロナ禍」というレンズを通したことで、本来の醜い姿が浮き彫りになったに過ぎません。