千賀の状態を不安視する声もあるが…続投指令に首を振ったWBCでの経験が五輪で生きる
千賀とは2017年のWBCで同じ日の丸のユニホームを着た。
■「勘弁してください」
忘れられないのが、日本での第2ラウンド・オランダ戦。6―5で迎えた五回からマウンドに送った。いきなり連打を浴びて無死二、三塁のピンチを招きながら、オランダの3番、4番を三振に打ち取って無失点。ベンチに戻ってきた千賀に「ナイスピッチング、次(六回)も行くぞ!」と声をかけると、大きく首を横に振ってこう言うのだ。
「もうダメです。ムリです。勘弁してください」
たった1イニングでヘトヘトになるほど、選手にはプレッシャーがかかっていた。
「おまえが行かないで誰が行く。ダメだったらすぐに代えてやる。おまえの球なら大丈夫だ!」
そうやってなんとか六回のマウンドに送り出したが、千賀はとてつもない重圧と戦いながら、4試合11イニングを投げて防御率0.82という抜群の成績を残した。
あの経験は間違いなく生きるはず。地元開催の五輪もプレッシャーはかかるだろうが、日本を含めて6カ国しか出場しない今回の五輪の相手国のレベルを考えれば、WBCの方がきつい。五輪が千賀復活の舞台になると期待している。