中日vsヤクルト戦「塁審見逃し事件」の“真犯人”は? 元セ・リーグ審判員が解説
嶋田塁審は厳重注意処分になった。大きな誤審が起こるたび、「審判には罰金や出場停止処分を」という声が上がる。審判の厳罰化について、篠宮氏は「何とも言えない、難しいですね」と話したうえで、こう言った。
「一軍の審判員にあまりにもミスが多く重なっているとき、何らかの対策を講じないといけないとは思います。僕の場合、外野審判でショートバウンドのファウルフライをダイレクトキャッチとミスジャッジしたとき、二軍に落とされました。すぐに審判部長から電話がかかってきて『1週間くらい行っていろいろ考えてこい』と。一軍に定着しないといけないと、しゃにむにやっていた自分がいて、広い目で物事を見られなかった。なぜミスをしたのか、本人が分からないとまた同じミスを繰り返しますから」
誤審の改善を巡っては、プロ野球では2010年の本塁打に関するビデオ判定導入を皮切りに、18年開始のリクエスト制度など、審判が映像の力を借りる流れも定着した。
「いろんな意見があると思うけど、僕は有意義なことだと思う。審判の気を楽にさせてくれる意味でも大きい。プレッシャーを軽くしてくれる。ファンの方は『何やっているんだ、へたくそ』と言う方もいると思いますが、審判の心理として、5万人の大観衆の中で誰一人として間違えたくないというのが本音なんです。でも悲しいかな、人間のやることなので、極度の緊張感の中では平常心でいられず、間違えやすくなるという経験は何度もある。それは何年やっていても変わらない。僕がプレートアンパイアのときはプレーボールの瞬間、『1球目にド真ん中が来たら……』というバカなことも考えていた。1球目にストライクを出すと、すっと気持ちが落ち着く。『よし、きょうも大丈夫だ、頑張れるぞ』と。だから早くストライクをコールしたかったですね」