著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

「人をつなぐマラソン」の季節に…北秋田はなぜか好選手を輩出している

公開日: 更新日:

 その後のワキウリの足跡は眩いほどだ。同年のローマの世界陸上で金、ソウル五輪は銀、英連邦諸国にとってオリンピックに等しいコモンウェルスとワールドカップでも金メダルを獲得し、ロンドン、ニューヨークで優勝……。村尾は、国内評価こそ瀬古の黒子でも、海外ではワキウリに数々の栄光をもたらした指導者と評価されている。

 久々に会って話したのはそんな昔話ではない。村尾は秋田県大館市出身。北秋田はなぜか好選手を輩出している。戦前には100メートル代表の佐々木吉蔵、最近では世界陸上で優勝した浅利純子。中でも昨年他界した山田敬蔵は日本の、世界のマラソン・レジェンドだ。

 満州から郷里の大館に引き揚げ、製材所や鉱山で働きながら走り始めて1952年のヘルシンキオリンピック代表になった。北秋田は鉱業、戦後は秋田杉の需要で繁栄してアスリートを多く送り出したのだ。圧巻が53年のボストンマラソン。身長157センチの小男が追い風に乗って大会記録で勝つと、現地は「転がる葉っぱ」と評し、復興途上の祖国は根上淳主演の映画「心臓破りの丘」で称え、地元大館は「山田記念ロードレース大会」を開催した。村尾によれば、その大会が来春、70回目を迎えるそうだ。そしてこう続ける。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • その他のアクセスランキング

  1. 1

    カーリング「ロコ・ソラーレ」代表落ちでも大人気!《SNSの投稿はまるでアイドル》の指摘も

  2. 2

    女子ジャンプ元女王・高梨沙羅 W杯自身初の表彰台ゼロの裏に致命的な日本の「鎖国体質」

  3. 3

    バド日本代表HCが韓国代表監督に就任!名伯楽が明かしていた「日本での冷遇」「母国のラブコール」

  4. 4

    日本の「お家芸」はなぜ大惨敗だった?競泳&バドミントンは復権どころかさらなる凋落危機

  5. 5

    スキージャンプ高梨沙羅またまた「失格」の深層…北京五輪、W杯に続く失態にSNS《また?》と物議

  1. 6

    「羽生結弦は僕のアイドル」…フィギュア鍵山優真の難敵・カザフの新星の意外な素顔

  2. 7

    私は何度でも嫌われ役を演じる覚悟です。エキスポ駅伝の開催前に「吠えた」理由を話します

  3. 8

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  4. 9

    スキージャンプ“52歳のレジェンド”葛西紀明が担うもう一つの重要任務…W杯代表入りでギネス記録更新

  5. 10

    世界陸上が終わってからが正念場…国立競技場は民営化で「稼げるスタジアム」に変貌できるのか

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  2. 2

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  5. 5

    パワハラ告発されたJ1町田は黒田剛監督もクラブも四方八方敵だらけ…新たな「告発」待ったなしか?

  1. 6

    矢沢永吉「大切なお知らせ」は引退か新たな挑戦か…浮上するミック・ジャガーとの“点と線” 

  2. 7

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  3. 8

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 9

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  5. 10

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは