テキサス州知事の「ワクチン強制禁止」政策に悩まされる大リーグ
「ワクチンは安全かつ有効で、新型コロナウイルス感染症に対する最善の防御ではあるものの、接種は任意とすべきであり、決して強要してはならない」
米テキサス州知事グレッグ・アボット氏が今月11日に出した知事令は、「ワクチン接種の義務化」を新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑止するための重要な対策とするバイデン政権の方針と正面から対立する。
ジョー・バイデン大統領が民主党であり、アボットが共和党に所属していること、さらにアボットが前大統領ドナルド・トランプ流の過激な言動で知られ、2024年の大統領選挙で共和党の有力候補のひとりに挙げる声もあることを考えれば、両者の意見の相違は当然といえるだろう。
しかも、アボット自身が今年8月に新型コロナウイルス感染症に罹患したにもかかわらず「ワクチン接種義務化反対」の方針を掲げているのだから、「反ワクチン」を唱える共和党支持者向けの人気取り政策は相当に強い信念に基づいていることになる。
一面において民主党政権を揺さぶり、他面では共和党内での支持を固めようとするアボットの姿は、政治家同士の権力闘争で収まればよいものの、知事の一言が州内の企業や団体に与える影響は大きい。