中日・山井が時々見せた無双モード 成績は平凡でも20年プレーし続けた不思議な魅力
お察しの通り、山井は若いころからムラのある投手だった。調子のいいときは得意球のスライダーがえぐいほどキレキレで、相手打線をまったく寄せつけない快投を見せる一方で、悪い日は序盤から簡単に大崩れすることが多く、さらには右肩や右肘などの故障も多かったことから、なかなか調子が安定しないところがあった。いわゆる投げてみないとわからない典型的なタイプで、不調時は山井ならぬ「病」と揶揄されることもあった。
だけど、虎党の私にしてみれば、中日の山井というのは非常に不気味かつ厄介な存在で、彼のここ最近の調子なんかはまったくアテにならなかった。もしかしたら今日が無双モードかもしれない……そう虎党をびびらせるほど、好調時の記憶が脅威となっていたのだ。
しかも、山井のおもしろいのはこのムラがベテランになってからもわずかに続いたところだ。14年の2冠以降、山井は30代後半に突入し、15~16年にかけて先発11連敗を記録するなど、さすがに年齢からくる衰えが隠せなくなっていた。さらに、そのあたりから二軍暮らしが続き、引退の空気さえ漂い始めた。