著者のコラム一覧
岡崎朋美長野五輪メダリスト

1971年、北海道清里町出身。94年リレハンメルから98年長野、2002年ソルトレークシティー、06年トリノ、10年バンクーバーと日本女子最多の冬季五輪5大会出場。長野で日本女子短距離選手初のメダル(銅)を獲得した。07年に結婚、10年12月に女児を出産。14年ソチ五輪代表入りを逃し、現役引退。20年マスターズ国際スプリントゲームズで世界新記録を更新して金メダル獲得。現在は全国各地で講演会を行う。聖徳大学客員教授。日本学生陸上競技連合理事

<11>ソルトレークシティー五輪のテロ対策に引っかかった「商売道具」

公開日: 更新日:

 刃が変に曲がると、滑っているときに音が鳴ったりブレーキがかかって異変にすぐ気付く。エッジは本来ならスタッフもデリケートに扱うべきもの。しかし、長田監督は違った。

■長田監督のサプライズ

 私が世界大会に出場し始めた頃、なぜかスケート靴を部屋に持ち帰る監督。

 あるときはW杯のレース前日だった。急に上位に食い込む会心の滑り。監督はニヤリとする。私に内緒で刃を1センチほど前に出していたのだ。その分、後ろに重心がいくのでストレートのタイムが格段に増した。それに味をしめたようで、「監督、エッジがおかしいです!」と言っても「大丈夫だ」の一点張りだった。

 調整したという先入観がない状態で滑った方がいいという考えらしい。イジったときに決まってかけられる言葉は「どうだ?」。

 だんだんその法則が分かるようになり、「またやりました?」と聞いて自分の感覚を伝えると、そこで初めて「そうか、実はココをこうした」と白状した。

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