北京金メダル第1号候補・男子モーグル堀島行真 実姉が語る“4年前の涙の謝罪”と両親の献身

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 3日、男女のモーグルが開会式に先立って開幕。男子は日本のエースで金メダル第1号候補の堀島行真(24)が5日の予選2回目に回る波乱に見舞われた。セカンドエアの着地が乱れ、まさかの予選1回目16位。自動的に5日の決勝1回目に進める上位10人に入れなかった。だが、「1回目で通過したかったんですけど、簡単にはいかなかった。しっかり調整します」と明るい表情で振り返った堀島は、今季のここまでのW杯全9戦で3勝を挙げ、すべてで表彰台に立っている。

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 総合ランキングは2位。海外メディアからも有力V候補に挙げられている。初の五輪出場となった前回2018年の韓国・平昌大会では、メダルが確実視されながら、転倒して11位に終わった。リベンジに懸ける男は家族の思いを背負う──。

■1歳でゲレンデデビュー

 熱狂的スキー好きの両親のもと、岐阜県揖斐郡池田町に2人きょうだいの長男として生まれた。

 プロスキーヤー兼インストラクターとして活躍する姉・有紗さん(26)はお家事情をこう語る。

「両親は小学校の教員ですが、スキーが大好きなんです。大学生の頃、スキーが得意な母が父を誘ったのが始まりで、下手だった父は『負けてられない』と練習するうちにのめり込んでしまったそうで(笑い)。後に準指導員の資格を取ったほどです。両親は結婚してからも毎シーズン必ずゲレンデに繰り出していて、『子供ができてもスキーはやめられない』と、5月生まれの私も翌春にはスキー板を履かされました(笑い)」

 姉と同様に堀島が1歳でスキーデビューしたのは自然な流れだった。シーズン中の堀島一家は冬休みや春休みはもちろん、毎週末のように各地のゲレンデへ遠征。宿泊費の節約のため、10年ほど前にキャンピングカーまで購入したという。

 堀島きょうだいは両親の意向で小学生になる頃から種目を問わず、多くの大会に出場を重ねた。最終的に「滑って、飛んで、速さを競うことに引かれた」と、2007年ごろから揃ってモーグルに専念するようになった。

 両親が協力を惜しまなかったことは言うまでもない。オフシーズンの土日は車を片道1時間ほど走らせ、三重県にあるウオータージャンプ場「K-air」へ通い詰めた。主に母は撮影担当、父はアドバイス担当で成長を支えた。

 中学3年時にW杯参戦への思いを訴えた堀島に対し、自費出場にもかかわらず1回30万円ほどの遠征費を捻出。その姿をテレビで観戦するために有料テレビチャンネルと契約を結んだ。

「でも、決勝まで進まないとテレビ放送されなくて。父が『映らないじゃん』と行真にボヤいたこともあります(笑い)。行真も自分が家計に負担をかけていたことを知っていたので、一時は挑戦をやめようとした時期もあった」(有紗さん)

平昌五輪は転倒により11位

 念願のW杯決勝進出は高校2年の3月だ。その4年後は平昌五輪の大舞台に立つまでになった。

「当時、マスコミの皆さんは『金メダル有力候補』と言ってくれましたが、行真自身はそこまでの自信がなかったと思います。プレッシャーもあったのでしょう」(有紗さん)

 結果は転倒により、11位に沈んだ。その直後のことを今でも忘れられないと、有紗さんは続ける。

「当時、在学していた中京大学は平昌まで応援ツアーを組んでくれたんです。しかし……。試合の後、行真が泣きはらした目で私たちの前に来て、『期待に応えられなくてごめんなさい』と頭を下げていました。自分が一番苦しいはずなのに、すごいなと。今回の北京五輪は支えてくれた周りへの恩返しとしても、強い思いがあるようです」

 涙をのんだその日から4年。堀島は昨年12月にSnowMAP-JAPANから公開されたインタビューで、「この4年間の成果をキチンと発揮して、結果という形でみんなに見せることでしかあの悔しさは晴れないだろうし、みんなが応援してくれた中での失敗は北京では考えられなくて。ここは勝つしかないなと思っています」と、覚悟を語っている。

 2度目の大舞台でリベンジを果たせるか──。

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