<19>4年に1度のテレビ解説 高木美帆選手のすごさを再確認した
女子団体パシュート決勝は思ってもみない結末になった。連覇目前、残り100メートルで高木菜那選手が転倒。あの瞬間、私は外出先で携帯電話片手に中継を見ていて、公衆の面前で思わず叫んだ。その声に驚いて何人が振り返ったか。びっくりさせてすいません。転倒の映像が流れるたび、何とも言えない気持ちになった。
この北京五輪では久々に解説者の仕事をやらせてもらっている。五輪と同じ、4年に1度の“大舞台”。美帆選手の1500メートルのレースの日は朝からお腹が痛かった。解説で緊張していたというより、まるで自分がレースに出るような感覚に襲われていた。もしかしたら、気合を入れようと朝から濃いコーヒーを飲んでいたせいかもしれないが。
銀メダルに終わった1500メートルの美帆選手は最後の1周、タイミングがバラバラに。あんなに手足の動きが崩れている姿を初めて見たのですごく驚いた。対角線上に手と足が動くはずが、四肢が全部チグハグで、もがきながら必死にゴールへ向かっていた。今シーズンは、悪くてもラスト1周のラップの落ち幅は1秒ちょっと。それが2秒近く落ちていた。北京五輪のリンクは重たくて足に負担のくる氷とは聞いていたが、3組前でオランダのブスト選手にオリンピックレコードを出されたことへのプレッシャーと焦りがあったのかもしれない。