大谷自己最多9勝目!エ軍低迷でも来季は「本塁打王」に「奪三振王」まであるぞ
GMは大谷のトレードを否定
ミナシアンGMはしかし、大谷のトレードを否定した。友成氏が指摘するようにチームの勝利が期待できない以上、大谷が個人記録狙いに目の色を変えるのは火を見るより明らか。というより、そうする以外にないだろう。
ポスティングシステムによるメジャー挑戦が決まった17年オフ、大谷が30球団の中からエンゼルスを選んだ最大の理由は米国でも二刀流を貫きたかったからだ。
ヤンキースやレッドソックスなどプレーオフ進出が義務付けられたア・リーグの強豪や、DH制のなかったナ・リーグを敬遠したのは、すぐに結果を求められる場所で二刀流を続けるのが困難だと判断したからだろう。チームがワールドシリーズで勝つことより何より、近年のメジャーではだれも成しえていない二刀流にチャレンジしたかった。そこには人がやっていないことをやってみたいという大谷独自の哲学がある。
■松井秀喜よりイチロー
昨シーズン終盤、大谷が「ヒリヒリするような9月を過ごしたい」と話したのは、入団以来4年間、一度も勝ち越したことのない現状への不満に他ならない。しかし、彼の中では勝つこと以前に二刀流で結果を残すことが重要。投手としてローテーション入り、本塁打王争いに名を連ねるようになったからこその発言で、「ヒリヒリする9月を過ごす」ために二刀流を断念することになれば本末転倒だ。
かつて同時期にメジャーでプレーしたイチローと松井秀喜の考え方は対照的だった。
4タコでチームが勝つよりも負けても4安打の方が良いと考えるイチローに対し、松井はチームのためにプレーすることが個人成績につながるというスタンスだった。大谷がどちらに近いかといえば前者のイチローだろう。
今季はもちろん、来季も勝つことが難しい状況は、大谷個人にとってむしろプラスに作用するのではないか。これまで以上に遠慮なくバットを振り回し、投手として腕を振ることに専念できるからだ。そのポテンシャルの大きさを考えれば、結果として本塁打王と奪三振王も視界に入ってくるに違いない。