野口みずきを「ストライド走法」に変えた チョコチョコ走りでは世界では戦えない
「どれぐらいで脚に(疲れが)来るんだ?」
2人のコーチに聞くと「25キロぐらいでかなりきついです」という。数日考えた末、メダル取りの戦略が決まった。
それにしても、近年は五輪も世界陸上も、マラソンは平坦な周回コースが多い。今回の世陸もそうだ。気温が10度と絶好のコンディションだった女子は、最初からアフリカ勢が飛び出しスピードレースになった。松田瑞生は序盤から先頭集団についていけず9位。私の印象では1万メートルで活躍していた頃の方が腰が高くフォームも良かった。
コース形態がどうあれ、スピード化が遅れている日本選手はアフリカ勢を負かすのは厳しい。野口が2時間19分12秒(日本記録)で走ったのは05年のベルリン(ペースメーカー=PMは男子)。21年の大阪国際はコロナの影響もあり、長居公園内の平坦な周回コースで行われ男子のPMがついたが、優勝の一山麻緒は2時間21分を切れなかった。国内の主要大会はコースをどんどん平坦化し、記録を出させることにこだわっているが、記録はよくても、国際大会のメダルに結びつかないのが現実。アフリカ勢との差を埋めるには、まずは、さらなる高レベルのスピード持久力強化トレーニングへの挑戦が最重要課題だとみている。(つづく)