蒼国来は第一印象では目に留まらなかった 体育館でたったひとり相撲指導を受けた
中国内モンゴル自治区まで弟子をスカウトに行った2003年4月。「これは」と思う子に軒並み断られた私が宿泊するホテルに、地元テレビ局の人が1人の少年を連れてきました。
それがエンクー・トプシン、後の蒼国来であることは前回述べましたが、最初の印象は「筋肉質だが細い。果たして太れるのか?」というものでした。レスリングの選手で、それでも日本で相撲をやりたいと言う。
昼間、大学に視察に行った時には私の目には留まりませんでしたが、それを正直に言うのもかわいそうです。そこで、
「まだ大学の方には行ってないんだよ。明日、行くつもりなんだ」
とごまかし、翌日の朝7時半くらいに再び大学の体育館に行きました。
そこで蒼国来の動き、体力などをチェックすることに。股割りやすり足などをやらせてみました。他の学生たちも「何かやってるぞ」と気付いたのか、いつしか私の後ろは黒山の人だかり。彼らを前に、蒼国来は黙々と相撲の指導を受けていたわけです。