土俵復帰した蒼国来は思わず「支度部屋の視線がつらかった」と漏らした
蒼国来は十両に昇進する前くらいから体が大きくなり始め、苦手だった押し相撲にも対応できるようになりました。まわしを取れば、自分の相撲が取れる。
血筋としてはモンゴル出身力士の系譜ですが、彼らほど相撲は速くない。でも、小力が強いのでまわしを掴めば相手は嫌がる。爆発力はありませんでしたが、安定した四つ相撲が蒼国来の持ち味でした。
十両を4場所で通過し、2010年9月場所で新入幕。この調子だと三役もあるぞ、と思っていた矢先に例の事件ですからね……。
当時、蒼国来は27歳。力士としては一番力が出る、一番いい時期だったんです。そんな大事な時に2年半のブランクは大きかった。最高位は東前頭2枚目ですが、もし順調に相撲を取っていれば三役は確実だったと思います。それだけに、蒼国来が13年7月場所で土俵に復帰した時は、目頭が熱くなりました。
それまで荒汐部屋では蒼国来の名前を残し、「幕内」の木札の代わりに「師範代」の札を掲げていたのですが、再び「幕内」の札に付け替えて……。まさに感無量でした。