著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

驚異的「円安ドル高」が大リーグを目指す日本人選手に与える“意外な影響”

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 一方、例えばドル建てで給与が支払われる米国駐在員らは、為替相場の変動によってドルが強くなっているから、給与を日本円に換算すると金額が増えているように見える。

 実際には米国は日本以上に物価が上昇し、特にニューヨークやロサンゼルスなどの大都市での生活費も高騰しているため、円安ドル高の恩恵を全面的に受けているわけではない。

 野球に限れば、2000年に約189万ドルであった平均年俸が、22年は約441万ドルと約2.3倍上昇した大リーグと、同時期に3269万円から4312万円と約1.3倍上昇した日本のプロ野球と、両者の差は確実に開いている。

 この間、最低年俸を20万ドルから70万ドルへと段階的に3.5倍引き上げた大リーグと、一軍最低年俸が1300万円と1600万円と約1.2倍の増額にとどまっているプロ野球という、構造的な違いがある。

 国内総生産(GDP)が00年の約10兆ドルから21年の約22兆ドルと2倍に増加した米国と約535兆円から約536兆円とほぼ横ばいであった日本の経済規模の差も見逃せない。

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